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突然パソコンの画面が真っ暗になって何も映らない…そんな状況に陥ると誰でも焦ってしまいますよね。パソコン初心者の方であればなおさらパニックになり、「電源を入れ直したら直るのかな?データは消えていないだろうか?」と不安になることでしょう。
画面が黒いままだと作業が続行できず困ってしまいますが、慌てて誤った対処をすると大切なデータを消失してしまう恐れもあります。まずは落ち着いて、原因を確認し適切な対処法を試すことが大切です。本記事ではパソコン画面が突然真っ暗になってしまう原因と、自分でできる対処法を丁寧に解説します。
初心者の方でもわかりやすいように手順を紹介しますので、順番に試してみてください。それでも改善しない場合に業者へ修理を依頼すべきかの判断ポイントや、日頃からできる再発防止策についても触れていきます。
目次
- 1 パソコンの画面が真っ暗になる主な原因を理解しよう
- 2 症状のチェック!まずは故障箇所を切り分けよう!
- 3 自分で試せる基本的な対処法【電源が入らない場合】
- 4 自分で試せる対処法【電源は入るが画面が黒い場合】
- 5 専門業者に相談・修理依頼する判断基準
- 6 専門業者に依頼するときに確認しておくこと
- 7 再発防止のためにできること
- 8 まとめ
パソコンの画面が真っ暗になる主な原因を理解しよう
パソコンの画面が真っ暗になって操作できない状態は一般的に「ブラックアウト」と呼ばれます。一口にブラックアウトと言っても、ハードウェア起因のトラブルとソフトウェア起因のトラブルの両面から様々な原因が考えられます。
まずは原因を大きく把握しておきましょう。原因を特定できれば再発防止策も立てやすくなります。以下に主な原因をまとめます。
パソコン本体の不具合や故障
マザーボードや電源ユニットなど内部パーツの故障により、起動そのものが正常に行われないケースです。例えばメモリやCPUに不具合があると、電源は入ってもBIOS(基本システム)すら起動せず画面にメーカーのロゴも表示されなくなります。
バッテリー劣化や電源コード断線も含め、ハード面のトラブルでブラックアウトが発生している可能性があります。
接続機器(周辺機器)の問題
マウスやキーボード、USBメモリや外付けHDDなど周辺機器の不具合や接触不良がパソコンの起動を妨げている場合もあります。例えば起動時にUSB機器のトラブルでBIOSやOSが固まってしまい、画面が映らなくなることがあります。
またデスクトップの場合はモニターや映像ケーブルの問題も原因になり得ます。モニター自体の故障や、PC本体とモニターを繋ぐケーブルの緩み・断線があると、パソコン本体は動いていても信号が届かず画面が真っ暗になります。
WindowsなどOSやソフトの不具合
パソコン本体にハード的問題がなければ、OS(基本ソフト)の不調が考えられます。Windowsアップデートの失敗やドライバの異常、ウイルス感染などでシステムが正常に起動できずブラックアウトに陥ることがあります。
特に更新プログラム適用直後に画面が暗いまま固まるケースは多く報告されています。また、ウイルス対策ソフトが影響して起動しない例や、グラフィックドライバ(表示制御ソフト)の不具合で画面表示がされない例もあります。
電気の帯電や熱暴走
長時間パソコンを使用し続けることで内部に静電気や熱が蓄積し、誤作動を引き起こすことがあります。いわゆる「帯電」により電気回路が正常に働かなくなる現象で、電源が入らなくなったり画面が映らなくなったりする原因の一つです。
特にノートPCでは内部に熱がこもりやすく、高温状態が続くとシステムがフリーズして画面が黒くなることがあります。
こうした原因は単独で起きる場合もありますが、複合的に発生することもあります。例えば「Windowsアップデート中にたまたま電源コードが抜けてバッテリー切れになり、システム不具合と電源断が同時に起こる」など複数の要因が重なることも考えられます。
原因を絞り込むために、次の章で現在の症状を観察し、故障箇所を切り分けるポイントを見てみましょう。
症状のチェック!まずは故障箇所を切り分けよう!
ブラックアウトが発生したとき、まず最初に行うべきは現在のパソコンの状態をよく観察することです。以下のポイントを確認すると、原因の切り分けに役立ちます。
本体の電源ランプや動作音はあるか
パソコン本体の電源LEDが点灯しているか、ファンの回転音やHDDの動作音が聞こえるか確認します。もし電源ランプも付かず動作音もしない場合は、そもそも電源が入っていない可能性があります。
バッテリー切れや電源ユニットの故障が疑われます。一方、電源ランプが点灯しファン音がするのに画面だけ映らない場合は、モニターやグラフィック周りのトラブルかOS起動トラブルの線が強まります。
メーカーのロゴやBIOS画面は表示されるか
電源投入直後に表示されるメーカーのロゴ(またはBIOS画面)が見えるかどうかも重要な手がかりです。ロゴがまったく表示されない場合、BIOS自体が起動していない可能性が高く、ハードウェアの深刻な不具合が疑われます。
逆にロゴが表示された後、Windowsのロゴやログイン画面に進めず黒画面になるならOSまたはドライバの問題と考えられます。何か英語のエラーメッセージが出ている場合はBIOSレベルでの問題(例えば「Boot Device Not Found」等)なので、ケーブルの接続やBIOS設定を確認する必要があります。
なお、BIOSについては以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご確認ください。
カーソル(マウスポインタ)は表示されるか
画面が真っ暗でもマウスポインタだけ動かせる場合があります。この場合、Windowsのデスクトップ表示が何らかの理由でできない「黒い画面にカーソルだけ」の状態です。
これはグラフィックドライバの不具合やエクスプローラー(デスクトップを描画するプログラム)の起動失敗などが原因で起こり、後述する対処法で復旧を試みることができます。逆にカーソルすら出ない完全な真っ黒であれば、より根本的な停止状態です。
異常な発熱や焦げた匂いはないか
本体が異常に熱くなっていないか触れてみましょう。過熱によるシャットダウンの場合、冷ますことで再起動できることがあります。
また、焦げた臭いがする場合は部品が焼け切れた可能性があり危険です。速やかに電源コードを抜き、パソコン修理くまさんに相談してください。
以上のチェックにより「おおよその原因の当たり」が付くはずです。例えば「電源も入っていない→バッテリー切れかな?」「ロゴは出たのにWindowsが立ち上がらない→システム不調かも」などトラブルの方向性が見えてきます。
次章からは、想定される原因ごとに初心者でも自力でできる具体的な対処法を解説します。上から順番に試すことで問題解決や原因特定に近づけるはずです。
自分で試せる基本的な対処法【電源が入らない場合】
まずは電源周りの問題に着目した対処法から試してみましょう。電源ボタンを押してもランプが点灯しない、起動音がしないといった場合は電源系統のトラブルが疑われます。以下の手順で確認してください。
電源ケーブル・バッテリーのチェックと再接続
デスクトップパソコンの場合
電源コードがコンセントと本体にしっかり差し込まれているか再確認します。意外とケーブルが半挿しになっていたり、テーブル下のコンセントタップのスイッチがオフになっていたという初歩的ミスもあります。
また延長コードではなく壁のコンセントに直接つなぐなど電源供給を安定させてみましょう。モニター一体型であればモニター側の電源も確認します。
ノートパソコンの場合
ACアダプター(充電器)が正しく接続されているか確認します。バッテリー残量不足で電源が落ちている可能性があります。充電ランプが点灯するかをチェックし、点灯しない場合はアダプターやコード断線も考えられるので、可能であれば別のACアダプターを借りて試します。
バッテリーが取り外せる機種なら、一度バッテリーを外してAC電源だけで起動を試みるのも有効です。バッテリー自体が故障しているときは外部電源のみで起動する場合があります。
放電作業(放電リセット)の実施
上記を試しても電源が入らない、あるいは電源ランプはつくのに画面が映らない場合は内部に帯電した不要な電気を逃がす「放電」を行ってみましょう。
これは特にノートパソコンで有効な手段で、長時間使用や周辺機器接続により蓄積した静電気がリセットされ、正常起動することがあります。以下の手順で行います。
- すべてのケーブルや周辺機器を取り外す
USBメモリや外付けHDD、マウス・キーボードなど全て外し、本体単体の状態にします。ノートPCの場合は可能ならバッテリーも取り外してください。 - 電源ボタンを長押しして強制的に電源を落とす
電源が入っていないように見えても念のため長押しで完全に電源を切ります。 - そのまま数分~10分程度放置する
電源が入っていないように見えても念のため長押しで完全に電源を切ります。 - 電源を接続して起動を試す
ノートPCの場合はバッテリーを外したままACアダプターだけ繋ぎます。デスクトップも電源コードを直にコンセントへ接続します(延長タップ経由は避けます)。そして電源ボタンを押して起動するか確認します。
以上で放電作業は完了です。放電によって無事起動できた場合、原因は内部に蓄積した帯電だったと言えるでしょう。実際この方法で症状が改善する例は多々あります。
なお、延長コードやテーブルタップ経由だと十分に放電できない場合がありますので、できれば直接コンセントに繋ぐことがポイントです。
上記でもダメな場合は電源ユニットやバッテリー故障を疑う
ケーブル確認や放電を試しても全く起動の気配がない場合、電源ユニットの故障やバッテリーの完全死亡が考えられます。
この場合はユーザーができる対応は限られます。デスクトップPCなら市販の電源ユニットに交換する方法もありますが、初心者の方にはハードルが高いため無理は禁物です。
ノートPCの場合バッテリー交換も機種によっては難しく、内蔵型バッテリーは専門業者でないと交換できません。これ以上自力で電源が入らないトラブルに時間をかけるより、早めにメーカーサポートや修理業者に相談することをおすすめします。
自分で試せる対処法【電源は入るが画面が黒い場合】
電源ボタンを押すとランプが点灯しファンも回る。しかし画面は真っ暗なままという場合、電源周りは問題なさそうです。ここからはパソコン本体は動いているのに映像が出力されていないケースに対する対処法を説明します。
音が鳴ったりマウスカーソルが表示される場合もこちらの章の方法を試してください。
スリープ状態の解除を試みる
まず単純な見落としとして、パソコンがスリープ(省電力状態)に入っているだけの可能性もあります。一定時間操作しないと画面オフになる設定になっている場合、黒画面になっていても実際はスリープ中で、何ら故障ではないケースです。念のため以下を試します。
- ノートPCの場合はキーボードを叩くかタッチパッドをなぞってみます。デスクトップの場合はマウスを動かすか任意のキーを押してみてください。通常であればスリープから復帰すれば画面が表示されます。
- それでも映らない場合は電源ボタンを一度短く押してみてください(長押しはしない)。機種によっては電源ボタン短押しでスリープ復帰するものがあります。
- 反応がなければ電源ボタン長押しで強制終了し、再度電源を入れ直します。本来スリープ復帰すべきところがフリーズして戻らなくなっている可能性があるため、一度強制的に電源を切って再起動する措置です。
スリープ解除でも映らない場合、スリープではなく本当に何らかの不具合で起動できていないと判断できます。このまま次の対処に進みましょう。
外部モニター・ケーブルの接続状況を確認
画面が真っ暗でも本体は動いている場合、モニターや接続ケーブルの問題をまず疑います。デスクトップPCならモニターが別体ですので、モニター側の電源が入っているか確認しましょう。
モニターの電源ランプが点いていなければモニター自体の故障や電源オフの可能性があります。 次に映像ケーブル(HDMIやDisplayPort、DVIなど)の接続をチェックします。ケーブルが緩んでいたり断線していると映像信号が届きません。
一度コネクタを抜き差ししてしっかり接続し直してください。また、もし予備の映像ケーブルがあれば交換してみましょう。モニター側の入力切替ボタンがある場合は、正しい入力(接続端子)に切り替わっているかも確認します。
さらに可能であれば他のディスプレイに接続してみるのも有効です。例えばオフィスであれば別のモニターに繋いでみる、自宅ならHDMI端子でテレビに出力してみるなどです。ノートPCでも外部出力端子(HDMI等)があればテレビや外部モニターに接続して表示されるか試せます。
もし外部の画面には映るが自分のモニターには映らないなら、モニター側の故障と断定できます。この場合モニターを修理または買い替えるしかありません。
逆に外部に繋いでもどの画面にも映らない場合は、パソコン本体側(グラフィックボードや内部回路)に問題がある可能性が高いです。その場合は次の対処に進みましょう。
画面表示の切替や明るさ設定を確認する
ノートパソコンの場合、表示先の切替設定によっては内蔵画面に映らないことがあります。例えば以前外部ディスプレイやプロジェクターに出力していた設定が残っていると、本体の画面がオフになることがあります。
キーボードの【Fn】キー+【F◯】キー(◯は画面切替マークの付いたキー)を押して、表示モードを切り替えてみましょう。多くの機種で「本体のみ/外部出力/両方表示」の切替が可能です。
数回押して全パターン試せば映る可能性があります。 併せて画面の明るさ(輝度)調節も確認してください。こちらもノートPCに多いのですが、輝度を最低まで下げていたために真っ暗に見えていただけというケースもあります。明るさ調整キー(通常はFnキー+太陽マークのキー)で明るさを上げてみてください。
不要な周辺機器をすべて外す
次に、本体に接続された周辺機器が悪影響を与えていないか確認します。USBメモリや外付けHDDが接続された状態だと、起動時にそちらからブートしようとして止まってしまう場合があります。
一度プリンターやUSBハブなど含めすべての外部機器を外してパソコンを再起動してみましょう。光学ドライブにディスクが入っている場合も取り出します。再起動後、問題が解決したのを確認してから一つずつ機器を繋ぎ直すことで、どの機器が原因だったか切り分けもできます。
安全な方法で再起動してみる
ここで改めてパソコンの再起動を試します。ただし闇雲に電源ボタン長押しでの強制終了・起動を繰り返すのは避けてください。
強制終了はストレージやシステムに負荷を与え、繰り返すとファイル破損の恐れがあります。まずは以下の安全な再起動手順を試しましょう
- キーボードでCtrl+Alt+Deleteキーを同時に押します。この操作でセキュリティオプション画面が表示される場合があります。画面が切り替わったら右下にある電源マークをクリックし「再起動」を選択してください。
- もしCtrl+Alt+Deleteを押しても反応しない場合は、Ctrl+Shift+Escを押してタスクマネージャーが開かないか試します。開いた場合はメニューから「シャットダウン」→「再起動」を選びます。
- これらも効かない場合はやむを得ず電源ボタン長押しの強制終了→再度電源投入を行います。一度だけなら問題ありませんが、強制終了は多重に繰り返さないようにしましょう。
再起動によって一時的な不具合であれば解消する場合も多いです。特に長時間スリープや休止状態が続いた後にブラックアウトが起きるケースでは、再起動で元通りになることがあります。
ただし再起動後も同じ症状が続く場合は、次のより踏み込んだ対処に進みます。
グラフィックドライバのリセット(ショートカットキー)
画面が真っ暗なままという症状は、グラフィックドライバ(映像を表示するソフトウェア)の問題で起きていることがあります。Windowsにはグラフィックドライバを手軽にリセットできるショートカットキーが用意されています。
画面が映らない状態でも受け付ける場合があるので試してみましょう。
- パソコンの電源が入って動作している状態で、キーボードのWindowsキー + Ctrl + Shift + B を同時に押します。
- 正しく入力されると画面が一瞬チカッと点滅し、GPU(グラフィック処理装置)のドライバ再起動が行われます。その後数秒待って画面表示が復帰しないか確認してください。
この操作で直る場合、原因はグラフィックドライバの一時的な不具合だったと考えられます。例えばフルスクリーンのゲームや動画再生ソフト使用中にブラックアウトした場合などに有効です。
なお、このショートカットを押しても何も変化がない場合はドライバ以外に原因がありそうですので、次の対処に進みます。
BIOS設定の確認・リセット
ここから先は少し専門的ですが、BIOS(基本入出力システム)の設定確認も試みましょう。電源投入時にDeleteキーやF2キー(機種により異なる)を連打するとBIOS設定画面が開く場合があります。
もしBIOS画面が表示できるなら、ハード自体は生きている証拠です。 BIOSではブート順序(起動ドライブの優先度)などを確認します。稀に設定が変わってしまい、存在しないネットワークブートやUSBデバイスから起動しようとして止まっていることがあります。
その場合はHDD/SSDが最優先になるよう正しく設定し直します。設定に自信がなければ、「Restore Defaults(初期設定に戻す)」項目があれば実行してみるのも手です。ただし、原因が特定できないままBIOS設定を弄るのはリスクもあるので注意してください。
また、BIOS設定画面すら出せない場合(キー操作に反応せずBIOSに入れない)はハード不良の可能性が高いです。BIOS画面が出るかどうかも一つの判断材料になります。
セーフモードでの起動を試す
Windowsが通常起動できなくても、セーフモードなら起動できる場合があります。セーフモードとは必要最低限のドライバや機能だけで起動する特殊なモードで、不具合の原因切り分けに役立ちます。
黒い画面が続く場合でもセーフモードなら画面が表示される可能性があります。主な手順は次の通りです(Windows10以降)。
- 電源を入れてWindowsが起動しない状態で強制終了を繰り返す
電源オン→ロゴが出たら長押しオフ、を2~3回行うと、自動的にWindowsの修復メニュー(自動修復)が表示されることがあります。 - 「詳細オプション」からセーフモードを選択
自動修復画面またはWindowsの回復環境が表示されたら、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」と進み、再起動ボタンを押します。再起動後に起動オプション選択画面が出るので、キーボードのF4(セーフモード)を押します。 - セーフモードで起動するか確認
正常にいけば画面左下に「セーフモード」と表示された簡易なWindows画面が立ち上がります。
メーカーや機種によってセーフモードの入り方は多少異なるため、上手くいかない場合は取扱説明書やサポートサイトを確認してください。
セーフモードで起動できた場合
一時的な表示不良であれば再起動するだけで通常モードも復旧することがあります。また、原因の切り分けとして最近導入したソフトやドライバを削除することも検討できます。
たとえば直前に入れたグラフィックドライバ更新が失敗していたなら、デバイスマネージャーから当該ドライバをアンインストールしてみます。ウイルス対策ソフトが邪魔している場合は一旦無効化・削除も試します。
さらに、セーフモードで起動できたうちに大切なデータをバックアップしておくことも強くおすすめします。外付けHDDやUSBメモリにデータをコピーできれば、最悪OSを初期化することになってもデータは保全できます。
ただしセーフモードでは外部デバイスやネットワークが使えない場合もあるため、可能ならDドライブ等別パーティションに重要データを待避させる方法もあります。
セーフモードでも起動しない場合
OSの起動に必要なシステムファイルが壊れている可能性があります。次の手段として、Windowsのスタートアップ修復やシステム復元を行うことを検討します。
Windowsの「スタートアップ修復」「システム復元」を実行
Windowsには起動トラブルを自動的に修復する機能や、以前の正常な状態に戻す機能があります。黒い画面で通常起動できない場合でも、回復メニューからそれらを試せます。
スタートアップ修復
Windowsの回復環境を開き、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ修復」を選びます。システムが自動でブート関連の問題を検出し、修復を試みます。これはOSが起動しなくなったときの基本的な復旧手段です。完了後、再起動して問題が解決しているか確認します。
システムの復元
セーフモードや回復環境の「詳細オプション」内に「システムの復元」が選択できる場合があります。過去に復元ポイントが作成されていれば、それを使ってWindowsを以前の状態に戻せます。
たとえばWindows更新直前の状態に戻すことで不具合が解消する場合があります。復元の際は影響のあるプログラムが表示されますので確認しましょう(基本的にデータファイルは消えません)。
更新プログラムのアンインストール
Windowsアップデートが原因と考えられる場合、「詳細オプション」→「更新プログラムのアンインストール」から最近インストールされた更新を削除できます。
これにより問題が解決すれば、アップデートの不具合だったことになります。削除後は一時的にアップデートを保留するか、Microsoftから修正パッチが出るのを待って再適用するとよいでしょうう。
上記の操作はいずれもWindowsの自動修復機能に任せるもので、初心者の方でも比較的実行しやすい対処法です。ただし、システム復元やアップデート削除は環境によっては利用できない場合もあります。
また、「初期状態に戻す(リセット)」機能は注意が必要です。初期状態に戻すとデータも消えてしまうケースがありますので、安易に実行せず、可能なら専門知識のある人に相談してください。
「黒い画面にカーソルだけ」状態への対処
黒い画面上にマウスカーソルだけ見える場合、前述の通りエクスプローラーが起動していない可能性があります。比較的よくある症状で、「Black Screen with Cursor」と呼ばれることもあります。この場合は以下の方法で復旧できることがあります。
タスクマネージャーからエクスプローラーを起動
Ctrl+Shift+Escキーを押してタスクマネージャーを開きます(Ctrl+Alt+Deleteからタスクマネージャー起動でも可)。メニューの「ファイル」→「新しいタスクの実行」を選び、explorer.exe と入力してOKします。
うまくいけばWindowsのデスクトップが表示されるはずです。これは一時的な対処なので、原因となったソフト(例えばウイルス対策ソフトやグラフィックドライバ)が何だったか後で突き止めて対処する必要があります。
高速スタートアップを無効化
Windows10以降ではシャットダウン後の起動を高速化する「高速スタートアップ」機能がありますが、これが原因で黒い画面になる場合があります。上記タスクマネージャーから復旧できたら、一度高速スタートアップを無効にしてみましょう。
コントロールパネルの電源オプションから「電源ボタンの動作を選択」→「現在利用可能ではない設定を変更」→「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外して保存します。次回以降、通常通りシャットダウン・起動して症状が改善するか確認してください。
グラフィックドライバの再インストール
黒画面カーソル症状はグラフィックドライバの破損が原因のこともあります。セーフモードで起動し、デバイスマネージャーからディスプレイアダプターを選んでドライバーのアンインストールを実行します。
その後再起動すると標準ドライバで起動するので画面が映る可能性があります。映った場合、改めて正しいグラフィックドライバをインストールし直しましょう。
以上のように、黒い画面+カーソルのみの場合はいくつかポイントを絞った対処で復旧できるケースがあります。それでもだめなら前述のセーフモードやシステム修復も併せて試してください。
ウイルス感染の可能性をチェック
稀にではありますが、ウイルスやマルウェア感染が原因でシステムが正常起動できなくなり黒画面になることもあります。特に見慣れない警告画面が直前に出ていた、怪しいファイルを開いた直後だった等の場合は注意が必要です。
再起動や強制終了で一時的に動作するようなら、起動後にセキュリティソフトでウイルススキャンを行いましょう。万一ウイルスが検出され駆除しても症状が改善しない場合、OS自体が破損されている恐れもあります。
その際はデータをバックアップした上でWindowsの再インストール(初期化)も視野に入れます。ウイルス感染の疑いが強いときは早めに専門業者に相談するのも手です。
専門業者に相談・修理依頼する判断基準
上述の対処法を一通り試しても症状が改善しない場合や、自力での対処に不安がある場合は、無理をせずパソコン修理の専門業者やメーカーサポートに相談することをおすすめします。以下に相談・依頼の目安となるポイントをまとめます。
BIOSすら表示されない / ハード故障の疑いが強い場合
電源は入るのに全く画面表示が無い、もしくは起動中に異常なビープ音が鳴るなどはハードウェア故障の可能性大です。メモリやマザーボード、グラフィックボードなど部品交換が必要になるケースが多く、素人には困難です。こうした場合は早めに修理に出すべきでしょう。
自分ではお手上げの場合
セーフモードやシステム修復も試したが改善しない、手順が難しくて途中で対処を断念した、といった場合もプロに任せるタイミングです。「あと一歩で直せるかも」と粘りたくなりますが、時間を浪費するより専門家の力を借りた方が確実です。
特に業務で使うPCなら、ダウンタイムを最小にするためにも早期にプロの診断を仰ぎましょう。
データ優先か、修理優先かを決める
業者に依頼する際は「パソコン本体の正常動作が最優先」か「中のデータ救出が最優先」かで依頼先が変わることもあります。メーカーや修理店は部品交換で直すことに重きを置き、最悪データは初期化される場合があります。
一方、データ復旧業者は動作は直せませんがデータ救出に注力します。自分の目的に合った相談先を選ぶと良いでしょう。迷った場合は状況を説明して適切なサービスを案内してくれる業者も多いです。
専門業者に依頼するときに確認しておくこと
いざパソコン修理を専門業者に依頼するときに予め確認しておくことがあります。例えば事前にしておくことや費用相場などです。ここでは専門業者に依頼するときに確認しておくことについてご紹介します。
修理に出す際の準備
故障状況をメモにまとめておくとスムーズです。いつ頃から症状が出たか、直前に行った操作(更新やソフトインストール等)、これまでに試した対処法などを伝えると、技術者も原因を把握しやすくなります。
また保証期間内であればメーカー保証が使えないか確認しましょう。保証外でも延長保証や保険に入っていれば修理費用を抑えられる場合があります。
修理費用の目安
症状によって幅がありますが、。
部品交換が必要な場合は部品代がさらに加算されます。メーカー修理の場合も2~3万円程度から、内容次第では5万円以上になるケースもあります。ただし見積もりは無料のことが多いので、まずは気軽に問い合わせてみると良いでしょう。
再発防止のためにできること
最後に、今回の黒画面トラブルを教訓に再発防止策や日頃から気を付けるポイントを整理します。「原因を特定して今後の再発を防ぎたい」というニーズに応えるため、ぜひ以下の対策を実践してください。
定期的なデータバックアップ
トラブルが起きてもデータさえ無事なら被害は最小限で済みます。外付けHDDやクラウドストレージに重要データを定期的にバックアップしましょう。特に仕事用PCなら毎日でもバックアップを取る習慣が望ましいです。万一修理で初期化が必要になってもバックアップがあれば安心です。
異変の早期発見
パソコンの挙動に普段から注意を払いましょう。例えば起動時に時間がかかるようになった、ブルースクリーンが頻出する、異音がする、発熱が激しいなどの兆候があれば早めに対処や点検を行うことで重大トラブルを防げます。「最近調子が悪いな」と感じたら放置せず原因を調べたりプロに相談したりするのが得策です。
内部の埃除去・冷却対策
パソコン内部に埃が溜まると冷却効率が落ち、熱暴走の原因になります。数年使っているPCは定期的に清掃するのが望ましいですが、ノートPCは分解が難しいものも多いです。無理に自分で分解すると破損や感電の危険があるため、自信がなければクリーニングサービスや専門業者に任せましょう。
デスクトップならエアダスターでホコリを飛ばす程度でも違います。冷却ファンの換気口を塞がない設置も心がけてください。
システムとソフトの健全な管理
Windowsやドライバ、ウイルス対策ソフトは常に最新の安定版に保ちましょう。ただし最新アップデート適用直後に不具合報告が出る場合もあるため、重要な更新は数日様子を見てから適用するのも一つの知恵です。
また不要な常駐ソフトは入れない、怪しいサイトやファイルに手を出さないなど基本的なセキュリティ習慣も大切です。
まとめ
パソコンの画面が突然真っ暗になると驚いてしまいますが、本記事で解説したように原因は多岐にわたり、それぞれ対処法があります。電源周りの確認から始まり、ケーブル類や周辺機器の点検、ソフトウェア的な復旧手段まで順を追って試すことで、多くのケースで自力復旧が可能です。
特に初心者の方は焦らず手順通りに実施することが大切です。 今回紹介した対処法によって無事画面が復旧し、元通り作業を再開できることを願っています。「データを失わずに復旧させたい」「再発を防ぎたい」というニーズにもお応えできるよう、注意点や予防策も合わせて述べました。
もしそれでも改善しない場合は無理をせず専門業者への相談を検討してください。プロに任せれば最短即日で原因特定から修理完了まで対応してくれるサービスもあります。大事なのは大切なデータとパソコンをこれ以上悪化させないことです。
パソコンは精密機器ですが、正しい知識を持っていればトラブル発生時も落ち着いて対応できます。本記事がお困りの際の参考になれば幸いです。今後は定期的なバックアップとメンテナンスを心がけ、安全にパソコンを活用していきましょう。