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パソコンやモニターの画面に突然、小さな点が光ったまま消えなかったり、逆に真っ黒なまま反応しないピクセルが現れることがあります。これが一般的に「ドット抜け」と呼ばれる状態です。初めて見つけた方の多くは「このまま放っておいても自然に直るの?」「修理しないとダメなの?」と不安になるでしょう。
本記事では、ドット抜けが自然に直る可能性や放置してもよいのか、自分で試せる対処法から、直らなかった場合の現実的な選択肢まで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。ドット抜けが起きてお困りの方はぜひとも参考にしてみてください。
ドット抜けとはどんな状態?

ドット抜けとは、パソコンやモニターの画面に表示される小さな点(ピクセル)が、正しく色を表示できていない状態のことです。画面上のごく一部だけが常に光ったままになったり、逆に真っ黒な点として残り続けることがあり、背景によっては非常に目につきやすくなります。新品のモニターであっても、ごくまれに初期状態から発生している場合もあり、必ずしも故障とは限らない現象です。まずはその仕組みを理解することが大切です。
ドット抜けとは?
液晶モニターは、非常に細かい「画素(ピクセル)」が集まることで映像を表示しています。この1つ1つのピクセルは「赤・緑・青(RGB)」の3つのサブピクセルで構成されており、それぞれの発光を組み合わせて色を表現しています。しかし、このサブピクセルのいずれかが動作しなくなると、本来と異なる色で固定されたり、まったく光らず黒いままになることがあります。こうした状態が「ドット抜け」です。
例えば、本来は暗い画面で見えないはずの部分に明るい点が光ったままだったり、逆に白画面でも黒い点が残っていたりします。ドット抜けは“壊れた”というより、製造過程での微細な誤差により発生することも多く、多くのメーカーは「一定量までは仕様」として扱っています。そのため、見つけてもすぐに故障と判断するのではなく、症状の種類や位置、数を冷静に確認することが重要です。
ドット抜け・輝点・黒点の違いとは?症状別の見分け方
ドット抜けには主に「輝点(きてん)」と「黒点(こくてん)」の2種類があり、それぞれ症状の見え方が異なります。輝点は、本来消えているはずのピクセルが常に赤・緑・青など特定の色で光り続けている状態です。暗い背景で特に目立ち、夜間や黒基調の画面では強い違和感を覚えやすくなります。
一方、黒点はその逆で、どんな表示をしても一切光らず、常に黒いままの状態です。白背景の時に特に目立ちます。この他に、ごく一時的に表示がおかしくなる仮死状態のピクセルもあり、一時的な誤作動で表示が乱れているだけのケースも存在します。
見極めのポイントは、「常時光っているのか」「光らないのか」「一時的に変化しているのか」です。自然回復の可能性があるのは、一時的な点滅や微妙な発色変化を伴うタイプであり、完全に消灯している黒点は回復しにくい傾向があります。
ドット抜けは自然に直る?

「放置しておけばそのうち直るのでは?」と考える方は少なくありません。実際、ドット抜けには自然に回復するケースも存在します。ただし、すべてのドット抜けに当てはまるわけではなく、症状のタイプや発生状況によって大きく結果が異なります。自然治癒が期待できる状況と、逆に放置しても直らないケースの見極めがとても重要です。
ドット抜けが自然に直るケース
自然に直る可能性があるのは、いわゆる仮死状態のピクセルと呼ばれる一時的な誤作動によるドット抜けです。これは、内部の液晶分子の動きや電流の伝わり方が一瞬乱れたことで発生するもので、数時間〜数日で自然に回復することもあります。また、しばらく通電を続けたことで発光が安定し、表示が正常に戻るケースも確認されています。このタイプは、点滅や異常な色が一時的に見られたり、じっと凝視していると少し変化しているように見えることが特徴です。
特に、購入直後や移動・持ち運び直後などに発生した軽度なドット抜けは、環境や温度の変化によって一時的に起きただけであり、自然に回復する可能性があります。ただし、自然回復を狙う場合でも、1週間〜2週間以上変化がなければ、それ以上の改善はあまり期待できません。
ドット抜けを放置しても直らないケース
完全に黒くなっている「黒点」や、常に赤・青・緑などの色で明るく光り続けている「輝点」は、基本的に自然には直らないといわれています。これらはサブピクセル自体が故障または固着している状態であり、電流や温度変化では回復しにくいのが実情です。特に「最初から一切変化しない」「点滅・濃淡変化もまったくない」という症状は、完全に固着している可能性が高く、自然回復を待っても意味がないケースがほとんどです。
また、放置して悪化する可能性もゼロではありません。圧力や熱の影響、経年劣化により、周辺の画素にも影響が広がり、ドット抜けが増えることも報告されています。とくに中央付近や作業でよく目を使う領域に現れたものは、早期に対応した方が後悔しにくいでしょう。
自分でドット抜けを直す方法

ドット抜けが自然に直る可能性があるタイプであれば、自分で試せる対処法がいくつか存在します。これらは基本的に「低リスクの範囲で画素に刺激を与えて正常な状態に戻す」ことを目的とした方法です。ただし、強く押し込んだり、熱を加えると別の故障につながる恐れがあるため、できる限り優しく慎重に行うことが大切です。ここでは、一般的に比較的安全とされる代表的な3つの方法をご紹介します。
通電を続けて様子を見る
もっともシンプルかつ安全性が高いとされる方法が、しばらくディスプレイをつけっぱなしにして通電を続けるという対処です。液晶は通電と発光を繰り返すことで本来の状態に戻ろうとする性質があるため、短時間で発生した軽度のドット抜けであれば、数時間〜数日の連続稼働によって自然に表示が正常化するケースがあります。特に、購入直後・移動直後・環境変化に伴って一時的に発生したものは、この方法で改善する可能性があります。
ただし、電気代や液晶の負荷を考えると、何日も放置し続けるのは現実的ではありません。通電での改善が期待できるのは、発生から時間があまり経っていない軽度のドット抜けのみです。1週間以上変化がない場合は、これ以上の自然回復はあまり期待せず、次の方法や別の判断に進むほうが現実的です。
点滅するカラーパターン動画を再生
YouTubeなどで公開されている「ドット抜け修復」「JScreenFix」などの動画は、画面全体を高速でカラーパターン切り替えし、固着しかけたピクセルに刺激を与えることで回復を試みる方法です。RGBそれぞれの光を強制的に切り替え続けることで、「一時的にサブピクセルが固まっているだけ」のタイプなら、信号の再活性化により自然に復帰することがあります。実際に「放置していたら治った」「1時間再生したら改善した」などの報告もあります。
ただし、これはあくまで「軽度の固着」「仮死状態」に限られる対処であり、完全に黒点・輝点化した画素には効果が薄い場合がほとんどです。また、過度に長時間再生し続けると目の疲労や液晶の負担にも繋がります。効果があるかないかは個体差が大きいため、“やってもよいが期待しすぎない”という意識で試すのが現実的です。
ドット抜けの部分を軽く指で押さえる
「液晶マッサージ法」と呼ばれる方法で、ドット抜けが起きている箇所をやわらかい布や指の腹でやさしく押し、軽く円を描くように刺激を与えるという手段です。圧を加えることで内部の液晶分子を再配置し、一時的に固着していたサブピクセルの状態を正常に戻すことを狙います。ただし、この方法は強く押しすぎたり、爪や硬いもので画面を直接押してしまうと、逆に液晶パネルを破損させたり、別のドット抜けを増やしてしまう危険性があります。
そのため、「絶対に力を入れすぎない」「一瞬だけ・様子を見ながら試す」ことが重要です。わずかな圧で反応するようであれば一時的に改善することもありえますが、変化が全く見られない場合はすぐに中止し、それ以上無理に行わないようにしましょう。特に高価なモニター・プロ用途の機器の場合は、自己判断での押圧は避けたほうが安心です。
自分でドット抜けを直せない場合はどうすれば良い?

ここまで紹介した通電やカラーパターン動画、軽い押圧などの方法を試しても改善が見られない場合、自然治癒の可能性は低いと判断するのが現実的です。その段階では、「プロによる診断・修理を検討するべきか」「買い替えに進むべきか」など、優先順位とコストを踏まえて選択を行うことが大切です。ここでは、実際にどのような順番で判断すべきかをわかりやすく整理します。
まずメーカー保証・購入店保証を確認する
一番最初に確認すべきなのは、購入時の保証内容やメーカー・販売店のサポート条件です。購入して間もない製品であれば、「初期不良」として無償交換の対象になる可能性があります。ただし、ドット抜けは多くのメーカーが一定数までは仕様と明記しており、「黒点が1つだけ」「輝点が数個」程度では交換対象外になることも珍しくありません。そのため、保証規定における“交換対象となる条件”をしっかり確認することが重要です。
特に、「発生してから時間が経つほど交換や返品が難しくなる」ケースが圧倒的に多いため、気づいた時点で早めに相談することが推奨されます。放置して後から申請しても、「使用中に発生したもの=仕様」と判断されて対応されないケースが非常に多い点に注意が必要です。
保証でダメなら「修理」または「パネル交換」を検討
保証での交換が難しい場合には、メーカーまたはPC修理業者による「パネル交換」「修理診断」などを検討することになります。モニターの種類や年式によってはパネル交換が可能で、ドット抜けを根本から解消できるケースもあります。ただし、パネル交換は 新品購入に近いコストがかかることも多く、モデルによっては修理より買い替えのほうが合理的になる場合もあります。
また、メーカー修理の場合は「液晶パネルまるごと交換」になることが一般的で、軽度なドット抜けでも高額請求になる可能性があります。コスト・使用年数・作業用途の重要度などを踏まえ、必要に応じて パソコン修理の専門業者に事前相談し、見積もりだけでも取っておく と、判断材料が揃いやすくなります。
ある程度使用に支障ないなら「割り切ってそのまま使う」選択もある
もしドット抜けが画面の端のほうにあり、普段の作業にほとんど支障がないという場合には、そのまま使い続けるという選択も現実的です。特に 動画視聴やネット閲覧、書類作成など、視線が画面の中央に集中するケースが少ない用途であれば、日常的なストレスはほとんどありません。「気にしなければほぼ見えない」というユーザーも実際に多くいます。
ただし、この選択をする場合には “後で後悔しないか?”をよく考えることが大切です。たとえば、将来的に写真編集やデザインなどの用途が増える可能性がある場合、今は気にならなくても必ず気になるタイミングが来るかもしれません。一方で、用途が限定されておりコストを抑えたいなら、この判断が最も合理的になるケースもあります。“割り切れるかどうか”が重要な判断基準です。
作業効率や精神的ストレスが大きいなら「早めの買い替えも選択肢」
少しでも視認性が気になったり、「作業に集中できない」「毎回目に入って不快」と感じるようであれば、買い替えを前向きに検討することをおすすめします。特に、仕事・副業・学習などで1日の長時間をモニターの前で過ごす人の場合、画面上の小さな異常が集中力や疲労感に大きく影響することがあるためです。
さらに、ドット抜けが発見されたということは、すでにパネルや内部部品にわずかな負荷や劣化が進み始めている可能性があります。これが引き金となり、今後さらに別の不具合が発生することもゼロではありません。早めに交換しておくことで、長期的に安心して使える環境を整えられます。機材は“費用”ではなく“投資”と捉えたほうが、結果的にストレスを減らし効率を高める選択になります。
まとめ

ドット抜けは、液晶モニターを使用している限り誰にでも起こり得る現象であり、必ずしも故障とは限りません。自然に直るケースも一部存在するため、まずは症状の種類や位置を正しく見極めたうえで、通電や動画再生などのリスクの少ない方法から試すことが大切です。ただし、完全に黒く固まっている・輝点がまったく変化しないといった場合は自然回復の可能性が低く、早めに今後の判断に移ることが重要です。
使用に支障がないならそのまま使い続ける選択も現実的ですが、作業に集中できなかったり、発生位置が中央に近く視認性に影響する場合は、保証の確認・修理・買い替えなどを検討しましょう。特に、購入直後や保証期間内であれば早めの相談が対応の可否を左右します。小さな異常でもモニターは仕事や学習の効率に大きく関わるため、「放置して後悔しない選択」を意識して行動することが大切です。
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